奨学金の新設と拡充 成果報告

受給者レポート:熊谷奨学金

神学研究科

大嶋 かず路

 このたび、熊谷奨学金という由緒ある奨学金をいただき、この上ない喜びを感じています。心よりお礼申し上げます。今後の研究につきましても、さらに努力を続けていく所存です。

 上智大学で神学を本格的に学び始める以前、私は1830年にポーランドで勃発した独立蜂起(11月蜂起)とそれにまつわる音楽作品に関する研究に従事してまいりました。18世紀末に他国によって分割統治され、一つの国家としての存在が失われるという状況において、ポーランド人は何を感じ、いかに生きたのか、また、こうしたポーランドの状況は、同時代の音楽作品にいかなる形で示されたのか――このような関心のもと、ポーランド、ロシア、ドイツ等における当時の音楽創作活動や演奏活動の実態について掘り下げていくことは、実に興味の尽きぬものであります。こうした研究を行う中、ふと、ある疑問を抱くようになりました。それは、祖国を追われた多くのポーランド人亡命者がヨーロッパ中を放浪する状況下において、教会が果たした役割とはいかなるものであったのか、という率直な疑問でした。これをきっかけに、私は神学の道へと導かれました。

 神学関連の研究として最初に私が選んだテーマは、19世紀のポーランド情勢とフランスの聖職者フェリシテ・ド・ラムネーの宗教思想との関連についてであり、既に一つの論文にまとめました。現在、このテーマをさらに発展させ、ロシア・ポーランド及びリトアニア関係史における教会合同の思想の発生とその発展について研究を行っております。一方は正教会、他方はカトリックを奉じる2つの隣接国家の歴史から生み出され、深化していった教会の合同や一致の思想は、両国の社会や文化に影響を与え、同時に、現代におけるエキュメニズムの理念とも相通じるものがあります。

 神学研究科での学びで得たものを、将来的には音楽研究にも生かしていきたいと考えております。

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